雨が降りしきる中、妙技「島田くずし」を披露する男衆=七尾市中島町谷内

雨が降りしきる中、妙技「島田くずし」を披露する男衆=七尾市中島町谷内

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水害に負けぬ勇気の技 七尾市中島・お熊甲祭 島田くずし、3年ぶり一斉に

北國新聞(2018年9月21日)

 国重要無形民俗文化財「お熊甲祭(くまかぶとまつり)」は20日、七尾市中島町宮前の久麻加夫都(くまかぶと)阿(あ)良加志比古(らかしひこ)神社などで行われ、高さ約20メートルの深紅の枠(わく)旗(ばた)を地面すれすれまで倒す妙技「島田くずし」が3年ぶりに一斉実施された。8月末の熊木川氾濫や9月の大雨で、枠旗が集まるお旅所「加茂原(かもはら)」が水没し、自宅が浸水した住民も多かったが、雨に負けじと技を繰り出す男衆の姿は、被災住民を勇気付けた。
 お熊甲祭は過去2年天候に恵まれず、担ぎ手の安全を考慮して、2年前は全末社が島田くずしの実施を取りやめ、昨年は一部の末社だけが実施した。
 20日は17末社の神輿(みこし)17基や枠旗20本が神社に集まった。神事の後、約700メートル東の「加茂原」へ練り歩く渡御が行われた。道中雨が強まり、「また島田くずしが中止になるのか」と見物客は不安そうな表情を浮かべたが、男衆からは「3年連続中止なんてあり得ん」との声が上がり、降りしきる雨の中、約15本の枠旗が加茂原に進んだ。
 加茂原では、男衆が旗を地面すれすれまで倒し、その下を猿田彦や太鼓役がくぐり抜けると、見物客から大きな拍手が湧き起こった。
 8月の熊木川氾濫で18世帯が床下浸水の被害に遭った、中島町上町の高森拓也壮年団長(31)は「雨の中、何とか最後までやり遂げることができて良かった。被災した中島を盛り上げたかった」と話した。
 加茂原は熊木川沿いにあり、8月31日の豪雨で地面がえぐられた。9月11日の雨でも浸水したが、祭りに向けて関係者が急ピッチで復旧作業を進めた。砕いたアスファルトを押し固めて以前より崩れにくくし、15日に工事が終わった。
 加茂原の前に住む中島町谷内の城邊(しろべ)良一さん(93)は、8月末の雨で加茂原が水没した様子を目の当たりにした。自宅も泥水が押し寄せ、裏庭が浸水する被害に見舞われたが、男衆による勇壮な島田くずしを見て「大雨が続き疲れ果てていたが、若い人の姿に元気をもらった」と喜んだ。

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