北國新聞(2018年9月27日)
「加賀竿(かがざお)展」(北國新聞社後援)は26日、金沢市の石川県立歴史博物館で始まった。技術を継承する唯一の職人中村滋さん(60)=額谷1丁目=が、戦前の名工が手掛けた逸品から現代の釣り人向けのルアー用まで約30本を並べて、実用性と造形美を兼ね備えた加賀竿の魅力を伝えた。
加賀竿の知名度を上げ、後継者確保のきっかけにしようと、初めて企画した。昭和初期の職人竿山(さおやま)が作った「鮎(あゆ)どぶ竿」は8本継ぎ、全長8・1メートルで、赤漆で仕上げられ、丈夫で品のある加賀竿の特徴を示している。
中村さんが白山市の白山白峰漁協と共同で開発した「白山テンカラ竿」、7本継ぎ、全長90センチの「タナゴ竿」など多彩な品がそろい、来館者は興味深げに見入った。
加賀竿の歴史や制作工程を写真で示したパネルも置かれ、藩政期に加賀藩が藩士の鍛錬のため釣りを奨励したことや、当時の鮎どぶ竿が真剣とほぼ同じ重さ約1・3キロだったことなどが紹介された。10月21日まで。