漁解禁初日に続々と競りにかけられる越前がに。地理的表示の対象に登録され、他産地との差別化が期待される=2017年11月6日、福井県越前町

漁解禁初日に続々と競りにかけられる越前がに。地理的表示の対象に登録され、他産地との差別化が期待される=2017年11月6日、福井県越前町

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「越前がに」に国のお墨付き 地理的表示保護制度に登録

福井新聞(2018年9月28日)

 福井県が誇るトップブランド「越前がに」が9月27日、国が地域の農林水産物や食品をブランドとして保護する「地理的表示(GI)保護制度」の対象に登録された。ズワイガニの産地間競争が激化する中で、越前がにを全国に売り込む追い風となることが期待される。県産品のGI登録は6品目となった。

 県漁連が申請した。登録されたのは雄のズワイガニと雌のセイコガニで、ミズガニは含まない。カニの登録は全国初。

 県漁連や農林水産省によると、福井県は沿岸から近い距離に好漁場が形成され、古くからズワイガニの産地として知られる。目利きの経験が豊富な流通業者を満足させる高品質のカニを安定的に水揚げする必要があるため、漁獲後は船上での冷温保管を徹底。身は詰まりが良く、甘みがある。鮮度が落ちやすいカニみそや内子も濃厚なうま味がある。

 2015年度からは、一定の基準を満たした雄を最高級ランク「極(きわみ)」と認定して販売、ブランド強化を進めている。ミズガニを含めた漁獲金額は15年度に初めて20億円を突破し、以降も高水準が続いている。県水産課によると、1キロ当たりの単価は全国トップクラスを誇る。

 一方、鳥取県が地元ブランド「松葉がに」の最上級品を「五輝星(いつきぼし)」として売り出すなど、産地間競争は激しくなっている。同課は「品質について国のお墨付きがもらえたことで、他産地との差別化を図っていきたい」としている。

 今回は越前がにのほか、熊本県の「くまもとあか牛」など2品目も登録された。福井県内ではこれまで「吉川ナス」(鯖江市)、「谷田部ねぎ」(小浜市)、「山内かぶら」(若狭町)、「上庄さといも」(大野市)、「若狭小浜小鯛(だい)ささ漬(づけ)」(小浜市)が登録されている。

 【地理的表示(GI)保護制度とは】地域で長年培われた特別な生産方法によって、高い品質や評価を獲得している農林水産物や食品を、知的財産として国が保護する制度。2015年度から始まり、全国の登録は今回の追加で69品目となった。国が定める「GIマーク」を付けて販売することで、他との差別化が期待できる。

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