浅野さん(奥)が所有する林秋路の画帖=泰栖堂浅野表具店

浅野さん(奥)が所有する林秋路の画帖=泰栖堂浅野表具店

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八尾のおわら絵師 林秋路の画帖 坂のまちアートで展示

北日本新聞(2018年10月5日)

 おわら風の盆を題材に数多くの版画作品を手掛けた画家、林秋路(あきじ)(1903~74年)=富山市八尾町上新町=手書きの絵と文を折り畳んで収録した画帖(がじょう)「越中八尾風物」が6~8日、八尾地域中心部で開かれるイベント「坂のまちアート」で初めて展示される。同市八尾町西町の表具師、浅野英夫さん(76)が持つ品で、今夏に秋路の次女、淑子さん(84)が父の直筆だと確認した。遺族が保管する以外に直筆の作品集が見つかるのは珍しく、注目を集めそうだ。

 秋路は20代から版画制作を始め、おわらの踊り手や伴奏者などを繊細なタッチで描き、「風の盆」の情感を表現。北陸タイムス(北日本新聞の前身)で八尾の風景をスケッチした作品を連載した。風の盆のPRポスターに多くの作品が採用され、おわらの町・八尾のPRに貢献した。昨年夏には同市の高志(こし)の国(くに)文学館で企画展が開催された。

 画帖は約20年前、浅野さんがおわらファンだった東京の知人から買った。踊り手の絵6枚それぞれに歌詞を添えた1冊と、八尾町の冬景色6枚と場面説明が対になった1冊がある。制作の経緯や誰が表装したかなど不明な点が多いが、淑子さんによると秋路が40~50代の作品とみられる。

 冬景色の画帖には大雪で2階から出入りしたことや、除雪に伴って用水があふれたことなど日々の出来事が素朴な文体でつづられている。企画展を担当した綿引香織学芸員は「当時の街の様子が分かり、秋路の人柄も感じられる貴重な資料」と指摘する。

 福鶴酒造(同市八尾町西町)にも秋路の画集があることが知られており、今回の展示を前に浅野さんが訪問したところ、「越中八尾風物」だと分かった。同内容だが画帖ではなく1冊の画集になっている点が違う。両家が外部に出さず大切に保管してきた故に互いの作品を知らないままだった。浅野さんは「八尾にあるべき作品だと思って入手した。同じ町内に二つあるなんて不思議な縁を感じる」と笑顔を見せた。坂のまちアートでは自身が営む泰栖堂浅野表具店に展示する。

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