下伊那郡阿智村清内路で住民たちが江戸時代から受け継いでいる「手作り花火」(県無形民俗文化財)の奉納が13日夜、下清内路諏訪神社・建神社であった。地元の「下清内路煙火有志会」が9月上旬から火薬を自作するなどして花火を用意。観客は花火の豪快さと火の粉を恐れない会員の勇壮さに歓声を上げた。
「行くぞ」の掛け声とともに会員が種火「綱火」に火を付けた。綱火はワイヤを伝って勢いよく飛び、やぐらに組まれた仕掛け花火に着火。円盤型の「火車」は回りながら、「大噴水」は滝のように火花を散らした。会員たちは、雨のように降る火の粉を足踏みしながら全身で受け止めた。
ともに米国国籍の英語教師デイヴィッド・ベリンジャーさん(47)=名古屋市=と、6月から北安曇郡小谷村で地域おこし協力隊員を務めるポール・デクレットさん(38)は、友人の誘いで初めて花火を見物。ベリンジャーさんは「迫力があって最高」と笑顔を見せ、デクレットさんは「火花の中に立つ勇気に感心した」。有志会は地区外からも会員を募っており、2人は「外国人でもできますか」と乗り気で住民に話し掛けていた。