深田久弥が下栗の里について記した一文を刻んだ石碑を見る野牧さん

深田久弥が下栗の里について記した一文を刻んだ石碑を見る野牧さん

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登山で愛された下栗、知って 深田久弥の紀行文を石碑に

信濃毎日新聞(2018年10月20日)

 飯田市上村の下栗自治会は本年度、「日本百名山」の著者深田久弥(1903〜71年)が冬に訪れた下栗の里を発信しようと、深田の紀行文の一節を刻んだ石碑を「高原ロッジ下栗」の近くに建立した。11月4日に開く「下栗ふれあい祭り」で除幕式を行い、登山愛好家に親しまれた南アルプスの玄関口として広く知ってもらう。

 石碑は「下栗ほど美しい平和な山村を私はほかに知らない」との一文を刻んだ。著作「百名山以外の名山50」の一節で、深田が晩年の1968(昭和43)年元日に下栗から南ア御池山(1905メートル)に登頂後、翌朝に下栗の宿を離れる際の場面の記述だ。著書では「私たちはたびたび振り返って聖岳に目を楽しませることを忘れなかった」と続く。

 石碑の建立は、下栗に触れた深田の一文を知った旧上村収入役の胡桃沢三郎さん(76)が発案。2年前、集落の活性化を手掛ける住民有志でつくる「下栗里の会」会員の野牧知利(ちとし)さん(70)が親族に建立の許可を得るなどし、計画が動きだした。同会の活動を受けて下栗自治会が事業に位置付け、完成させた。

 著書では、大みそかに飯田線平岡駅経由で集落に向かう途中、帰省する若者らの姿が描かれている。この年に20歳を迎えた野牧さんは、同じ日に帰郷した思い出がある。「深田さんと会っていたかもしれないと思うと文章が感慨深い」と野牧さん。「今は下栗から登る人は少ないが、登山家たちに愛された情景を伝えたい」と話している。除幕式は午前8時50分から。

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