見えを切る役者(中央)。観客席からは盛んにおひねりが投げ込まれた

見えを切る役者(中央)。観客席からは盛んにおひねりが投げ込まれた

長野県 伊那路 祭り・催し

秋晴れの舞台に「よっ、日本一」 大鹿歌舞伎、定期公演

信濃毎日新聞(2018年10月23日)

 大鹿村に江戸時代から伝わる地芝居、大鹿歌舞伎の秋の定期公演が21日、同村鹿塩の市場神社であった。晴天に恵まれ、2公演ぶりに屋外で開催。約千人の観客の視線は熱演にくぎ付けに。紙に小銭を入れた「おひねり」も盛んに飛んでいた。

 昨年3月に国の重要無形民俗文化財に指定されて以降、4度目の定期公演。1幕目は権力者の謀略によって殺される、当主の娘たちの悲劇を描いた「玉藻前(たまものまえ)旭袂(あさひのたもと)道春館(みちはるやかた)の段」を、2幕目は戦国時代に明智光秀が織田信長に謀反を起こした史実を題材に、戦乱に巻き込まれる光秀一家を描いた「絵本太功記(えほんたいこうき)尼ケ崎の段」を演じた。

 殺気立った光秀が、母宅で敵の姿を見誤り、障子越しに竹やりで母を刺し殺してしまう場面では、客席が静まり返った。武将らが刀をかざして見えを切る場面では、客席から「よっ、日本一」などの歓声とともに、おひねりが舞台に投げられた。

 10年ぶりに観賞したという喬木村阿島の会社員仲田茂さん(66)は、屋外の舞台で飲食をしながら気取らずに見られるのが地芝居の良い点とし「江戸時代の人たちと同じ娯楽を楽しんでいると思うと、感慨深い」と話した。

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