バフンウニ養殖を手掛ける福井県福井市鮎川町の「越前うに生産工房」が、日本三大珍味の一つとされる「越前雲丹(うに)」を11月3日からインターネットで販売。厳選した海藻を与えて育ったウニは、まろやかな甘みと強いうまみが特徴。代表の日比野憲治さん(63)=敦賀市=は「味も色も最高の出来栄え」とお薦めしている。
越前雲丹は越前海岸で取れるバフンウニを塩漬けにしたもの。豊かな香りと甘みを持ち、酒のさかなや、ご飯のお供として楽しめる。
日比野さんは県水産試験場などで、36年間バフンウニと餌の海藻の生態研究に携わり、2016年に福井市鮎川町に工房を構え、日本で初めての養殖に取り組み始めた。
採卵から育成、塩漬け加工まで日比野さんが1人で担う。水槽に張る水は鮎川漁港から引いた海水を使い、餌は越前海岸で取った臭みがない海藻を与える。そのため天然物に比べて癖がない甘みとうまみに仕上がり「食べた後も、のどの奥に風味が残るような逸品」(日比野さん)という。
昨年11月末に採卵し、約3センチまで育ったウニを塩漬けする作業を6月末に開始。味見して、うまみや甘みが十分なウニを殻割りし、県産の「越前塩」と混ぜ合わせると、オレンジ色がより濃く鮮やかになる。約3カ月で1・6キロを生産し冷凍保存。包装には越前漆器の箱と越前和紙を使用して高級感を出している。
3日から、ホームページ(「越前うに生産工房」で検索)で注文を受け付けている。25グラム入り2万円(送料、税込み)。日比野さんは「将来、販売が軌道に乗ったら地元の人を雇い、地域に貢献したい」と話している。