福井県坂井市の「まるおか子供歌舞伎」の第16回公演が11月10日、同市磯部小旧体育館で行われた。同市とあわら市の4~6年児童8人が心のこもった演技を披露、観客を神話の世界に誘った。
今年の演目は「日本振袖始(にほんふりそではじめ)」二幕。スサノオノミコトがヤマタノオロチのいけにえに選ばれた姫を救う物語で、原作は近松門左衛門の人形浄瑠璃。子供歌舞伎の指導を行う松竹関西演劇部の水口一夫さんが脚色した。初舞台の3人を含む8人は5月に稽古を開始。週末や夏休みを中心に稽古を重ね、歌舞伎独特の言い回しや動作を磨いてきた。
この日は2回の公演に合わせて約900人が詰め掛けた。姫に扮(ふん)したヤマタノオロチが毒酒を飲んで本性を現す場面では、ヤマタノオロチ役の男児が約20分にわたって踊り狂い、観客を魅了した。
女児が演じるスサノオノミコトがヤマタノオロチと対決するシーンでは鮮やかな立ち回りを披露。ヤマタノオロチを倒して姫を助け出すと、大きな拍手がわき上がった。
物語の舞台が島根県であることにちなみ、同県の「土江子ども神楽団」もオロチ役として特別出演。口から火花を吹く演出で会場を盛り上げた。