第69回県総合美術展(福井新聞社後援)が11月9日、福井市の県立美術館で始まった。福井国体に続いて県民の高い美術力をアピールしようと、「元気福井 美の祭典」をテーマに据えた。来場者や出品者が高齢化する中、今年から大学生以下の入場料を無料化。昨年に続いてブロガー内覧会を開催し、若い世代への発信に力を入れている。
前期展は14日までで、日本画、絵画造形、彫刻、工芸、書道、デザイン、写真の全7部門の入賞97点、入選398点を展示。16~21日の後期展では入賞作品に加えて、会員の177点、小中学生を対象とした「子ども展」の作品を紹介する。
知事賞には6人が輝いた。日本画の吹寄(ふきよせ)由美さん(44)=福井市=の「夏の日」は、さまざまな表情を見せる草木と、思春期の男の子の移ろいやすい心情を重ね合わせるように描いた作品。デザインの山田裕介さん(科学技術高3年)=同=は、「1等賞」と刻まれた鉛筆を握る手の写真に「頑張る自分に小さな1等賞」のコピーを添え、疲弊する若者へのメッセージを込めた。書道部門の作品に熱心に見入っていた野村美和さん(22)=永平寺町=は「条幅の作品からは、一息に筆を走らせる作者の緊張感が伝わってくるよう。1点1点とても見応えがある。書を離れて1年になるが、また書いてみたくなった」と話していた。
18日午後3時からギャラリートークが開かれ、上位入賞者が作品の制作意図や苦労話を明かす。
17日の午前10時からは、第1回展から運営に携わる福井市文化協会長の洋画家小原勉さんが講演する。表彰式は美術館で18日午後1時半から。一般の入場料は500円。