大小の和太鼓に「樽砧(きぬた)」や、しの笛の音が重なる勇壮で軽快な響き-。新潟まつりを活性化させようと始まった「万代太鼓」がことし創設50周年を迎えた。港町新潟の郷土芸能として定着し、活動してきた関係者は「ようやくここまできた」と喜ぶ。23日には、新潟市の市民芸術文化会館(りゅーとぴあ)で、恒例の「万代太鼓フェスティバル」が50周年記念として開かれる。
「新潟の新しい郷土芸能にしようとやってきた。ようやくここまできた」と語るのは、創設当時を知る白井国男さん(70)=東区=。万代太鼓を「たたくと気持ちが高揚する。その魅力に取り付かれた連中の集まりなんだ」と笑う。
万代太鼓は1968(昭和43)年、新潟商工会議所が新潟まつり活性化策として発案したことが始まりだ。その後、普及に尽力した当時の商議所職員・小泉光司さん=故人=の呼び掛けで、白井さんらが結集した。石川県の片山津太鼓の指導を受け、万代太鼓をつくり上げた。
翌69年1月には、万代太鼓の源流となる「飛龍会」が誕生した。万代太鼓を演奏する企業のグループが次々と結成され、現在22団体が加盟する「新潟万代太鼓振興会」ができた。
名前について、同振興会会長、広川隆夫さん(70)=北区=は「市民の心のよりどころである萬代橋にちなみ『万代』の名前を付けたようだ」と説明する。
また初期の頃から、後継者育成のため、小中学校にも活動を広げた。活動が細ることがなかったのは「子どもたちへの普及に力を入れてきたのも大きい」と関係者は口をそろえる。
これまで国内外で公演を行うなど、新潟のPRに一役買っている。現在、各団体を合計すると年300以上の舞台があるという。
23日の公演には、17団体が出演する。各団体から選抜された子どもの合同演奏もあり、11日には東区で最終練習があった。沼垂小「鼓助」に所属する6年生の女子児童(12)は「50周年の舞台に立てるなんてうれしい。心を一つにして頑張りたい」と意気込む。
フェスティバルは午後1時半から。太鼓芸能集団「鼓童」も特別出演する。入場料千円、高校生以下は500円。問い合わせは振興会事務局、025(270)9329。