福井県坂井市丸岡町山久保の久保田酒造で11月25日、辛口純米酒「鬼作左」の初搾りが行われた。タンクにつるされた酒袋からの甘い香りが酒蔵に広がり、袋から落ちる滴の音が心地よく響いた。
初搾りは、酒袋から漏れ落ちる一滴一滴を集める「袋吊(つ)り」で行った。蔵人8人が熟成させたもろみを布袋に注ぎ、専用タンクの上部に1袋ずつ結び付けていった。味のバランスが良く、口当たりがまろやかに仕上がるのが特長という。久保田直邦社長(57)は「今年は後味がすっきりし、いつも以上にキレがある」と話していた。
鬼作左は、陣中から「一筆啓上」と妻に送った手紙で知られる本多作左衛門の異名から名付けた。原料に酒蔵近くの水田で作った酒米「山田錦」と地下約200メートルからくみ上げた水を100%使用。丸岡産にこだわった酒は毎年、県内外から高い人気を集めている。
発売は12月1日。袋吊り搾りはあと2回作業を行い、720ミリリットルで約2100本。機械搾りを合わせると約5800本を醸造する。袋吊り搾りが税込み1760円、機械搾りが1447円。問い合わせは同酒造=電話0776(66)0123。