■来年4月から電気バス運行
立山黒部アルペンルートの黒部ダム(立山町)―扇沢駅(長野県大町市)間を結ぶ「関電トンネルトロリーバス」が30日、運行最終日を迎え、54年の歴史に幕を閉じた。両駅には大勢のファンらが集まり、別れを惜しんだ。来年4月からは新たに電気バスが運行する。
トロリーバスは架線から電力を得て走る車両で、見た目はバスだが、法的には「無軌条電車」に分類される鉄道の一種。関電トロリーバスは1964年8月に営業を始め、累計乗客数は6162万人。無事故だったが、老朽化や維持費高のため、保有する15台全てを充電式の電気バスに切り替える。今シーズンは104万7千人が乗車し、3年ぶりに100万人を突破した。
黒部ダム駅ではセレモニーが行われ、村田直樹関西電力黒四管理事務所長が「無事故継続にほっとしている。電気バスも皆さんに愛されるよう、従業員一同安全運行にまい進したい」と述べた。アルペンルートの富山県側の玄関口となる立山町の舟橋貴之町長は「今後も黒部ダムの偉業を幅広い世代にPRしたい」とあいさつした。
最終便には約300人が乗車し、名残惜しそうに車体を眺めたり写真を撮ったりしていた。長野県の会社員、白川美佳さん(46)は「何度も乗車した思い出のバスなのでさみしいが、電気バスも楽しみにしたい」と話した。
関電トロリーバスの引退で、国内のトロリーバスは立山黒部貫光が富山県側の室堂-大観峰間で運行する「立山トンネルトロリーバス」のみとなった。