氷見昭和館(氷見市柳田)の館長で似顔絵師としても活躍する蔵田幹善さん(67)が、これまで手掛けたうち2705人分を収録した作品集「にがおえ千人斬り」を完成させた。「作品作りを通じて交流の輪が広がり、自分自身も成長できた」と話している。
蔵田さんは市職員だった40歳の頃に同僚の似顔絵を描き始め、その10年後からは当時の市長の目に留まり、職員の名刺に入れる似顔絵を手掛けるようになった。現在は「苦楽多みきよし」の筆名で、昭和館や出張サービスで来場者の要望に応じて描いている。
インターネット上で同じ写真を基に腕前を競う「似顔絵オープントーナメント」では、2003年からの5年間で優勝2回、2位3回の好成績を残し、「日本で2番目にうまい似顔絵師」を自認している。
今回は活動の集大成として、14、15年に昭和館で似顔絵を受け付け、公開に同意を得た1566組2705人の似顔絵を一冊に収めた。本人の顔写真と作品を一緒に掲載し、似顔絵の描き方も掲載。こうした形式の似顔絵本は前例がないとして、特許庁の実用新案登録を取得した。氷見の活性化にも役立つと日本商工会議所の補助金も受け、出版にこぎ着けた。
B5判190ページで1500円(税込み)。来年1月4日から昭和館で取り扱うほか、200部を図書館などの公共施設に寄贈する。蔵田さんはこれまで2万人以上の似顔絵を手掛けたといい「作品を見た人の笑顔がうれしくて描き続けてきた。好評であれば第2弾、第3弾と出版し続けたい」と話している。