12月15日で生誕100年となる越前市生まれの絵本画家いわさきちひろの企画展「日本のおはなし」が、同市天王町の「ちひろの生まれた家」記念館で開かれている。日本の童話や文学を基にした冬らしい作品が、来場者の目を引きつけている。
安曇野ちひろ美術館(長野)が所蔵する複製画12点と関連資料を展示した。複製画はピエゾグラフと呼ばれる最新技術を用い、原画を忠実に再現している。
「つるのおんがえし」(1966年)の一場面「雪の日に訪ねてきた娘」は、娘の背景で静かに舞う雪が印象的な作品。「おにたのぼうし」(69年)の「戸口に立つおにた」も、主人公おにたの肩や傘に積もった雪が寒さを伝える。
未完のまま遺作となった絵本「赤い蝋燭と人魚」(73年)の「冬の日本海」は、がんを患ったちひろが病をおして新潟県の海岸にスケッチに出かけたという作品。墨と鉛筆を使い、北陸らしいどんよりとした厚い雲が描かれている。
企画展はちひろの記念の年に向け、同市観光協会と同ちひろ美術館が2年前から季節ごとに開いてきた。5日に始まった今回の展示は本年度の第4弾で、来年3月4日まで。