製造のピークを迎えている敦賀の伝承料理「にしんずし」=12月17日、福井県敦賀市古田刈

製造のピークを迎えている敦賀の伝承料理「にしんずし」=12月17日、福井県敦賀市古田刈

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正月彩るにしんずし製造ピーク 福井県敦賀市の伝承料理

福井新聞(2018年12月18日)

 福井県敦賀市の正月の食卓に欠かせない伝承料理「にしんずし」の製造が、敦賀市内の加工所でピークを迎えている。身欠きニシンをダイコンなどの野菜と一緒に米こうじで漬け込んだなれずしの一種で、北前船の寄港で敦賀に根付いた伝統の味。同市古田刈の加工所では新年に家族で楽しんでもらおうと、漬け込み作業に追われている。

 にしんずしは、敦賀では正月におせち料理と一緒に食卓に並ぶほか、お盆や敦賀まつりなど、帰省シーズンを中心によく食べられるという。

 市内の農家の女性5人でつくる生産者グループ「とんとん工房」の加工所には、漬け込み用の40~50リットルのたるがずらり。約450キロの身欠きニシンを使い、年間を通して仕込んでいるが、年末を控えた今の時期が製造のピークという。

 同工房の仕込みは全て手作業で、自分たちで仕込んだコシヒカリの米こうじをたるに敷き、塩漬けしたダイコンと彩り用のニンジン、30センチほどの身欠きニシンをたるに隙間無く敷き詰めていく。45キロの重しを載せ、しょうゆやみりんを合わせたオリジナルの調味料をかけたら完了で、様子を見ながら20日程度漬け込んで完成する。

 食べ頃を迎えると、ニシンのうまみを吸ったダイコンはぱりぱりの食感となる。ニシンは少しあぶって香ばしさを引き出すと、酒のさかなにぴったり。同工房の製法は最も一般的なものという。

 今では自分でつくる家は年々減少しているが、昔は各家庭で漬け込んでいたため、ハクサイやするめを加えるなどそれぞれ家庭の味があったという。

 同工房のにしんずしは、根強いファンが多い「ダイコンのみ」のものと合わせて、市内の直売所やスーパーなどに並べられている。20日以降に出荷のピークを迎え、正月明けまで続くという。坂本洌子代表(74)は「伝統の食文化を守りたいという思いで作り続けている。たくさんの人に味わってもらえれば」と話していた。

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