安吾直筆の「小菊荘画譜」のラベルが張られた「越の露」の純米吟醸(右)と、従来からある本醸造

安吾直筆の「小菊荘画譜」のラベルが張られた「越の露」の純米吟醸(右)と、従来からある本醸造

新潟県 十日町・松之山・津南

十日町・松之山の酒米と水使用 「越の露」純米吟醸が完成

新潟日報(2018年12月20日)

 新潟市出身の作家、坂口安吾が愛飲した「越の露」の純米吟醸酒が出来上がった。かつて越の露醸造があった十日町市松之山地区でとれた酒米と、仕込み水に使われていた名水「柳清水」で造られた。松之山温泉の旅館で18日、お披露目会が開かれ、関係者が爽やかな味わいを堪能した。

 醸造したのは、上越市浦川原区の新潟第一酒造(武田良則社長)。安吾の姉が嫁いだ越の露醸造などが合併して設立された。柳清水は、越の露醸造があった大棟山美術博物館(十日町市松之山)の入り口に湧き出ており、県の名水にも指定されている。

 タンクローリーを借りるなどして水を運び、11月中旬から仕込みを開始、第1弾として搾りたて生原酒を12日から販売している。

 お披露目会には、「松之山安吾の会」のメンバーのほか、JAや市、酒米生産者ら30人が集まり、関口芳史市長も駆けつけた。酒米を生産した高波悟さん(64)=同市松之山松口=は「こくがあるけど、すっきりした味わい」と語り、自身が生産した酒米でできた酒に「こんなうれしいことない」と笑顔を見せた。

 松之山安吾の会の高橋主計(かずえ)・事務局長も「とても飲みやすい。天国の安吾も心待ちにしていたと思う」と話した。来年2月に東京で開かれる安吾忌でも振る舞うという。

 武田社長は「初めての米と水を使った酒造りに重圧もあったが、松之山との絆がより深まった。東頸城の酒蔵として、今後も松之山産の『越の露』を残していきたい」と、来年以降も生産を続ける決意を語った。生原酒以外の商品については、今のところ未定という。

 価格は720ミリリットルで2千円、1・8リットルで4千円(いずれも税込み)。松之山地区を中心に販売している。問い合わせは新潟第一酒造、025(599)2236。

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