飯田市川路の「COCORO MARCHE」に並ぶ源助大根

飯田市川路の「COCORO MARCHE」に並ぶ源助大根

長野県 伊那路 特産

復活「源助大根」泰阜で本格出荷 金沢市産は「加賀野菜」

信濃毎日新聞(2018年12月21日)

 泰阜村で栽培を復活させた「源助(げんすけ)大根」が販路に広がりを見せている。2016年に試験栽培を始め、収穫が安定した今季は飯田市内や愛知県のハイウェイオアシスで販売。味が染みて軟らかくなっても煮崩れしにくいのが特長で、現在は金沢市産が「加賀野菜」として知られる品種だ。金沢市から種を取り寄せて栽培し、村ゆかりの農産物として広めたい考えだ。

 村振興課によると、今季は10アールに4千株を作付けし、約2千本を収穫。1本当たり1キロ前後の生育の良い大根が収穫でき、初めて本格的に出荷した。農業生産法人「丸中中根園」(飯田市)が同市川路で運営する直売施設「COCOROMARCHE(ココロマルシェ)」で今週末まで販売。市街地にある系列の飲食店では、おでんとして提供した。県外では伊勢湾岸道の刈谷ハイウェイオアシスにも並んだ。

 今季の販売価格は1本100〜160円。ココロマルシェ販売担当の山田由衣さん(22)は「煮物はもちろん、すりおろしても甘い」。村出身で仲買を担当した沢井秀年さん(57)=飯田市=は「金沢では1本300円ほどで取引されるブランド。地元でも知名度を高めて、ファン層を広げたい」と話す。

 源助大根は、愛知県西春村(現・北名古屋市)の採種業井上源助さんが明治期に開発。全国に広めた源助さんの息子、市太郎さんは昭和に入り、泰阜村の農業岡本浩三さん(81)宅を行商の拠点にした。村内では太平洋戦争前後に栽培が盛んだった。金沢市では昭和初期に源助大根に別の品種を掛け合わせた改良種を農家が受け継いでおり、村は2年前から種を取り寄せている。

 今年は作柄は良かったものの、9月の台風の影響で収穫に至らない株もあった。岡本さんは「収量を伸ばすには研究の余地がまだある。復活した栽培を大事に守っていきたい」と話している。

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