農産物直売所の特別栽培米のコーナー=富山市内

農産物直売所の特別栽培米のコーナー=富山市内

富山県 特産

来年から特別栽培米 富富富

北日本新聞(2018年12月25日)

 富山米の新品種「富富富(ふふふ)」のブランド力をさらに高めるため、県は2019年産から農薬と化学肥料を通常の半分以下に減らした特別栽培米をラインアップに加える。18年産は単一の商品展開で、差別化されたコメを扱う東京の百貨店などから、よりプレミアム感のある商品を求める声が上がっていた。特別栽培の経験に加え、農業生産工程管理(GAP)の認証を持つ生産者による作付けを想定しており、付加価値の高いコメを求める消費者ニーズに応える。 

 富富富のデビューに当たり、県は生産者の登録制度を導入。標準的なコシヒカリに比べて農薬は3割減、化学肥料は2割減といった栽培基準の順守を求めた。品質のそろったコメを多くの人に食べてもらうため、収穫された2600トンは全農県本部が一元的に集荷し、精米を2キロ袋で販売した。県内のスーパーでは1袋千~1200円に設定された。

 単一商品での販売は、富富富のイメージを定着させる上で効果的だった。その一方で、高価格帯のコメを扱う首都圏の百貨店も量販店と同じ商品を売ることになり、差別化しにくい状況を招いた。

 ブランド米の市場では、特別栽培はごく一般的になっている。特別栽培を最低条件にしている山形の「つや姫」をはじめ、北海道の「ゆめぴりか」、福井の「いちほまれ」などブランド化を目指す他県の新品種はほとんど特別栽培米を用意している。そのため、富富富が同じ売り場に並ぶと「見劣りする」(日本橋三越本店)との声が聞かれた。

 県の計画では、当初からデビュー2年目で特別栽培を始める予定になっており、販売現場の声を受け、2019年産から本格的に動き出す。これから生産者や作付面積、販売先などの詳細を詰める。より付加価値を高めるため、優良な農場の証しであるGAP認証を持つ生産者に作付けを依頼することを検討している。富富富の栽培指導を統括する県広域普及指導センター(富山市吉岡)によると、昨年、今年と2年間にわたって県内各地で実施した特別栽培の試験の結果、通常の栽培方法と比べて収量と品質は遜色なく、食味は上回る成績が出ているという。県農林水産企画課は「よりグレードの高い富富富を生産し、付加価値の高いコメを求める消費者に選ばれるようにしたい」と話している。 (政治部・浜田泰輔)

■作付けの希望倍増1000ヘクタール超 

 富富富の2019年産の生産者募集は今月19日に締め切られ、作付け希望面積は県が目標に掲げる千ヘクタールを超える見通しになっている。現在、集計を進めており、近く正確な面積と作付けを希望した生産者数を公表する。

 18年産の518ヘクタールからほぼ倍増し、収穫量は約5千トンが見込まれる。量が少なかったために2キロ袋での販売に限った今年とは異なり、5キロ、10キロ袋の商品展開も可能になるなど、販売方法の幅が広がることが期待される。

 県によると、生産に必要な種もみには若干のゆとりがあるため、最終的な面積が千ヘクタールを上回っても対応できるという。

 千ヘクタールは県内の主食用米の作付面積(3万3300ヘクタール)の3%に相当する。県はデビュー3年目の20年産までは千ヘクタール程度を維持し、その後は富富富の市場評価に応じて生産量を増やす計画にしている。 

◆GAP認証◆
 食品や労働の安全、環境保全に取り組む優れた農場に与えられる第三者認証。審査機関や基準項目によってJGAP、アジアGAP、グローバルGAPに分類される。県内では現在、11の生産者・団体が取得している。東京五輪・パラリンピックでは、認証を持つ農場から食材を調達することになっており、関心が高まっている。

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