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国宝土偶5点勢ぞろい 千曲の県立歴史館 来秋に企画展

信濃毎日新聞(2018年12月31日)

 県立歴史館(千曲市)は2019年秋に、国宝に指定されている土偶5点を集めた企画展を計画している。同館によると5点が勢ぞろいするのは、2009年の英国・大英博物館での展示以降5回あり、地方開催は初。土偶は独特な造形への関心が国内外で高まり空前のブームにあり、県立歴史館は多くの人出を見込んでいる。
 約1万年続いたとされる縄文時代の出土物で国宝に指定されているのは、土偶5点と新潟県十日町市の深鉢形土器しかない。土偶のうち2点は、茅野市尖石縄文考古館が所蔵する「縄文のビーナス」と「仮面の女神」。ほかは北海道函館市縄文文化交流センターの「中空土偶」、青森県八戸市の是川縄文館の「合掌土偶」、山形県立博物館の「縄文の女神」だ。
 土偶5点は、それぞれ女性を大胆にデフォルメ(変形)した立ち姿や座った姿などで、表情やしぐさ、施された文様に特徴がある。文化庁は09年、大英博物館との共催で土偶展を同館で開き、同年に上野・東京国立博物館で展示会を開催。この時、国内の考古学関係の展示では異例の12万人が観覧した。両展示に関わった文化庁主任文化財調査官の原田昌幸さんは「ここから土偶の奇抜な造形を面白いと感じる人が増えた」という。同館は18年にも5点を集めて「縄文―1万年の美の鼓動」を開催。35万人の観覧者を集め、土偶の関心はさらに高まっている。
 県立歴史館は開館25周年の記念事業の一環で、3年がかりで5点を集めた企画展を計画。既に5点の所蔵館から貸し出しの内諾を得ており、県の19年度当初予算に関連経費を要求している。5点を集めた展示は10月26日〜11月10日の16日間を予定。その後、長野、山梨両県で出土した重要文化財などの土偶を集めた土偶展を開く計画だ。
 18年には、八ケ岳山麓の長野県8市町村と山梨県6市による「星降る中部高地の縄文世界―数千年を遡(さかのぼ)る黒曜石鉱山と縄文人に出会う旅」が、地域の文化財を観光資源として活用する文化庁の「日本遺産」に認定された。笹本正治館長は「観光資源にもなるが、まずは県民に縄文時代の信州がどれだけ豊かな文化を育んだところだったのか、知ってほしい」としている。

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