国登録有形文化財・県民会館分館「内山邸」(富山市宮尾)の本年度の来館者が、例年を上回り、2万人に近づく見込みとなっている。2018年はロケが行われた映画「散り椿」や「ねんりんピック富山2018」の効果で県内外から多くの観光客が訪れた。結婚式の前撮りをするカップルも増えており、年間約300件の依頼があるという。中川靖夫分館長は「一過性にならず、リピーターになってもらえるよう努めたい」と話す。
1868年に建てられた内山邸は、富山藩時代の豪農屋敷の特色を残した屋敷が特徴。広大な庭園では梅や桜、イチョウなど四季折々の植物を楽しむことができる。毎年約1万8千人が訪れている。
昨年9月、ロケ地の一つとなった映画「散り椿」が公開されると、30、40代女性ら幅広い世代のファンが県内外から訪れるようになった。旅行会社のツアープランに組み込まれ、団体客も多かったという。立山町五百石の会社経営、泉野一顕さん(41)は「映画に登場するツバキの木を見られて良かった」と満足げだ。
11月には、ねんりんピック富山に出場した県外選手も訪れ、前年同月より約千人多い1900人の来館があった。
5年ほど前からは、県内の結婚式場やスタジオから、結婚式や成人式の前撮りの依頼が相次ぐようになった。写真投稿アプリ「インスタグラム」では、「内山邸」のハッシュタグ(検索目印)を付けた投稿が1200件以上ある。
フォトアトリエ「シュガーラブ」(富山市古沢)の佐藤愛代表は、前撮りのロケ地として内山邸を一押ししている。「梅や桜、紅葉と四季でさまざまなバリエーションの写真が撮れる。和装にぴったりな場所は県内でも珍しい」と魅力を語る。
2月下旬からは梅が見頃を迎え、毎年5千人ほどが訪れる。中川分館長は「季節の風物詩に合わせてイベントを開いている。ぜひ何度も足を運んでいただきたい」と呼び掛けた。
入館料は大人200円。