飯田市出身の日本画家菱田春草(1874〜1911年)の作品2点が5日から市美術博物館の常設展示で初公開される。同館が寄贈を受けて修復を終えた「富嶽(ふがく)」と、地元紙が「亥(い)年」の1911(明治44)年元日に発行した新聞の付録用に描いたとされる「猪図(いのししず)」。同館は新年らしい作品とアピールしている。
水墨画の「猪図」では、草の中でうずくまる1頭のイノシシを描く。同館によると、同市にあった「南信新聞」の付録の原本とみられる。同紙の幹部を務めた男性の子孫が所蔵している。同館の槙村洋介学芸員(53)は春草が上京後に帰郷したのは数度とした上で「晩年、有名になった後も春草と地元とのつながりを示す作品」と評価する。
「富嶽」は弟の唯蔵(ただぞう)(1881〜1925年)の結婚祝いとして贈ったとされる。富士山や三保松原が輪郭線を用いない「朦朧(もうろう)体」で描かれる。その他にも「王昭君」「黒き猫」など4作品の複製画や、地元小中学生の感想文なども展示している。
展示は2月11日まで。午前9時半〜午後5時(入館は4時半まで)。月曜休館(月曜が祝日の場合は翌日休館)。入場料は一般310円、高校生200円、小中学生100円。