猫背姿の曙覧の肖像画などが展示されている企画展「江戸の老い」=福井県福井市橘曙覧記念文学館

猫背姿の曙覧の肖像画などが展示されている企画展「江戸の老い」=福井県福井市橘曙覧記念文学館

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橘曙覧の歌から江戸の老い迫る 福井市記念文学館で企画展

福井新聞(2019年1月14日)

 幕末福井の歌人、橘曙覧が詠んだ歌から当時の高齢事情をひもとく企画展「江戸の老い」が、福井市橘曙覧記念文学館で開かれている。長寿の節目に贈った歌や、ようやく80歳で定年退職できた医師、熱心な介護で福井藩から褒美を受けた人々など、江戸時代の老いと向き合う人々の様子が浮かび上がってくる。3月3日まで。

 同館によると、節目の年のお祝いが庶民に広まったのは江戸時代。お祝いとして、相手に歌を詠むこともあった。曙覧は50歳を迎えた友人に「百歳に向けてともに元気で生きていきましょう」と歌を贈っている。50代と思われる曙覧の肖像画は、やや猫背となっている様子が描かれている。

 武士には奉公する義務があり、隠居願を届け出ることが認められた年齢は70歳で、健康で長く主君に仕えることが名誉だった。福井藩医の勝沢一順は、何度も隠居を嘆願していたがようやく80歳で許された。交流のあった曙覧は、隠居できた喜びを歌に詠んだ。

 高齢者介護は当時も課題だったようで、幕府や藩は特に尽くした人に褒美を与え記録に残した。褒美をもらったなじみの大工に曙覧は「親のようにまっすぐな心を引き継いで」と詠み、祝った。88歳の老人には「千年先までも生きていてほしい」と詠んでいる。

 同館の内田好美学芸員は「老いはマイナス面ばかり指摘されるが、当時は暗いイメージはなく、お祝いしながら前向きに捉えていた」と指摘する。「展示を通じて江戸時代の老いを知ってもらい、現代はどうあるべきか思いを巡らせてもらえれば」と来場を呼び掛けている。会期中無休。

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