茶道具の漆工芸品を紹介する企画展「漆芸をたのしむ」は福井県の福井市愛宕坂茶道美術館で開かれている。同館所蔵の盆やすずり、茶わんなど、職人技が光る逸品22点が来場者を楽しませている。2月26日まで。
福井市と歴史のみえるまちづくり協会が主催。茶席に飾る「市松文蒔絵硯箱」(17世紀)は外面に細かい市松模様、内側には大小の菊花紋の蒔絵が施されたしゃれた逸品。市松模様は金箔(きんぱく)を一枚ずつ貼ったとみられ、当時の職人の技術の高さがうかがえる。
干菓子を載せる盆「楼閣人物文堆朱丸盆(ついしゅまるぼん)」は15~17世紀の中国・明時代の製作とされる。装飾法の堆朱は、朱色の漆を何層も塗り重ね模様を掘り出す高度な技法。楼閣にたたずむ人物像が風情を醸している。
国内で作られた「樹下美人唐子堆朱香合」(20世紀以降)も同じ堆朱で表現されているが、日本の彫りは柔らかで、中国の鋭い彫りとの比較を楽しめる。
貝殻の光る部分をはめ込まれた盆や抹茶を入れる容器のほか、掛け軸や香合などで茶席の床飾り「諸飾り」を再現した展示もある。
高島礼学芸員は「茶と漆の工芸品は切っても切れない関係。いろんな技法を楽しんで」と話している。入館料100円。問い合わせは同館=電話0776(33)3933。