約800年前から伝わるとされ、五穀豊穣と天下太平を祈願する国の重要無形民俗文化財「睦月神事」が2月17日、福井県福井市大森町で古式ゆかしく営まれた。祭場の睦月神事会館では子どもたちの愛らしい舞や、豪快な芸能が次々と奉納された。
神事は4年に1度、町を挙げて執り行われている。待ち太鼓の音が響きわたり開幕を告げた後、ご神体を乗せたみこしや大太鼓、やっこ、獅子舞など約100人の行列が、にぎやかな囃子(はやし)とともに町内をゆったりと練り歩いた。
会館では、花がさや烏帽子(えぼし)をかぶり華麗な衣装をまとった子どもたちが舞を奉納した。米俵の上に作った約2畳の戸板の舞台で、「祝い中」「ささら」「さいやいや」などの演目を披露。大人の掛け声や手拍子に合わせ鶴などのしぐさを演じると、大勢の見物客から盛んな拍手が送られた。
巨大な扇を振る「扇の本」では、男衆が囃子を口ずさみながら威勢よく大太鼓を打ち鳴らし神事を盛り上げた。独特の節回しで2人の若者が掛け合う「士官取太夫」のほか、「田囃子」「蚕囃子」など農作業を模した独特の芸能も披露された。