大観台から称名滝をご覧になる昭和天皇と香淳皇后=1969年5月28日

大観台から称名滝をご覧になる昭和天皇と香淳皇后=1969年5月28日

富山県 立山黒部アルペンルート アウトドア・レジャー

大観台に展望施設 立山黒部アルペンルート

北日本新聞(2019年2月19日)

 環境省は立山黒部アルペンルート近くにある大観台(標高1470メートル)に、展望施設を整備する。称名滝を眺めることができる人気スポットとして知られ、1969(昭和44)年、昭和天皇と香淳皇后が全国植樹祭のため来県した際にも訪問されている。国内外から人気の山岳観光エリアに新たな魅力が加わる。石井隆一知事が18日、2019年度当初予算案発表の記者会見で明らかにした。

 環境省は新年度、一帯の環境調査に取り組む。大観台は、中部山岳国立公園内にあり、開発規制が厳しい「第1種特別地域」に位置することから、同省国立公園課は「自然を損なうことがあってはならない。どういう施設にするかは、調査してから検討することになる」と述べた。完成時期や、施設の維持管理をどうするかは未定とした。

 大観台は1968年に滝を一望できるように造ったスペース。立山黒部アルペンルートの美女平駅から室堂側に6・2キロ進んだ地点に位置する。県が管理しており、木製ベンチやテーブル、称名滝の概要を解説する看板が設置してある。面積は540平方メートル。

 滝まである程度離れているものの、流れ落ちる様子を見下ろすことができる。そばには登山道や美女平-室堂間の立山高原バスが走る道路が通り、歩いてアクセスできるが、階段を上る必要があり、高齢者や車いす利用者は足を運びにくかった。会見で知事は環境省に整備を依頼していたとし、バリアフリーに配慮した施設になることに期待感を示した。

■「立山駅-美女平駅」ルートで整備
 県が立山黒部アルペンルートで検討しているロープウエー構想を巡り、石井知事は立山ケーブルカーに隣接する「立山駅-美女平駅」ルートで整備を目指す方針を示した。環境影響や猛禽類(もうきんるい)の生息実態を調べるため、新年度当初予算案に6120万円を計上した。

 知事は地元の立山町、環境省の理解を得ていると説明し「今の時点では最善の選択だ」と述べた。立山ケーブルカーを運行する立山黒部貫光は取材に対し、「(立山駅など)当社の営業拠点を利用できるルートだ」とし、社内でも採算性の検討などを進めていく考えを示した。

 もう一つの候補だった「称名滝駅-大観台駅」ルートに関し、知事は「慎重論も多く、環境調査にどうしても時間がかかる」とする一方で、「『称名滝を見られるルートに』という声は根強い」と強調。今後も検討を続ける意向をにじませた。

 新年度はこのほか、立山黒部エリアの魅力向上へ、高齢者らが称名滝を訪れやすくするため、称名平から飛龍橋までのバリアフリー車両運行に向けた調査に着手する。ロープウエー整備で輸送力が上がり、より大勢が美女平周辺を訪れるケースを想定し、一帯での滞在と周遊を楽しんでもらうための方策や、室堂までのバス輸送の在り方を調査・検討する経費も盛り込んだ。

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