鈴木さんが作った「北陸秋景」の演奏に耳を傾ける河田会長=宇奈月国際会館セレネ

鈴木さんが作った「北陸秋景」の演奏に耳を傾ける河田会長=宇奈月国際会館セレネ

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与謝野夫妻ゆかりの「北陸秋景」歌う合唱団探す 宇奈月

北日本新聞(2019年2月24日)

 歌人の与謝野鉄幹、晶子夫妻が昭和初期に宇奈月温泉や黒部峡谷で詠んだ短歌を基に作られた合唱組曲に挑戦する合唱団を、地元・黒部市宇奈月温泉の住民らが探している。「合唱されれば、与謝野夫妻の短歌がより身近に感じられるようになる。ぜひチャレンジしてほしい」と期待している。

 合唱組曲は会社員で作曲家の鈴木有理(ゆうり)さん(38)=神奈川県=が1年ほど前に作った。タイトルは「混声合唱とピアノのための『北陸秋景』」。1933(昭和8)年秋に与謝野鉄幹、晶子夫妻が宇奈月に2泊して作った計70首から26首を選び、4楽章からなる作品に仕上げた。

 鈴木さんは合唱部だった高校時代から本格的に作曲に取り組み、これまでに20~30の組曲を作ってきた。明治、大正時代の詩歌を基にした作品もあり、特に与謝野晶子の短歌を好んで取り上げてきた。

 5年ほど前、富山市で暮らす両親と宇奈月温泉を訪れた際、与謝野夫妻の歌碑を見つけ、その後、夫妻が宇奈月で多くの短歌を詠んだことを知った。創作意欲がかき立てられ、母を通じて宇奈月温泉自治振興会の河田稔会長から、夫妻が宇奈月で詠んだ短歌をまとめた資料を手に入れ、作曲に取り掛かった。

 音楽として表現したいテーマや情景を決め、そのイメージに基づいて必要な短歌を選んだ。第1楽章の「紅葉」は夫妻の短歌を用い、風に散る紅葉の鮮やかな赤や黄色をピアノパートで表現した。第2楽章の「風景」は晶子の歌のみで無伴奏。第3楽章の「夜嵐」は鉄幹の歌で、雷や打ちつけるひょうの音を速く、激しい音楽で表した。最後の「渓川(たにがわ)」は夫妻の歌を採用し、秋晴れの下、川面を流れる紅葉をイメージした。「文語体の言葉をいかに美しく響かせるか、言葉一つ一つに対する音の選択が難しかった」と振り返る。

 河田会長は昨年夏ごろ、鈴木さんから楽譜を受け取った。現在、新川地域で活動する合唱団に話を持ち掛けるなど、組曲に挑むグループを探している。

 鈴木さんは「1小節ごとに拍子が変わる部分があるなど決して簡単ではない作品だが、ぜひ宇奈月の地で初演してもらえたらうれしい」と期待。河田会長は「合唱に挑戦してくれる団体がいれば、地元として積極的に応援していきたい」と話している。

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