近現代の画家たちの個性豊かな作品が並ぶ自画像展=2月23日、福井県福井市美術館

近現代の画家たちの個性豊かな作品が並ぶ自画像展=2月23日、福井県福井市美術館

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画家究極の自己表現 福井市美術館で自画像展開幕

福井新聞(2019年2月24日)

 佐伯祐三や藤田嗣治ら物故の大家から、福井県福井市出身の松井ヨシアキさんら現代画壇を代表する作家まで、日本の洋画家を中心とした「画家たちの自画像展―自らを見つめる画家のまなざし」(福井新聞社共催)が2月23日、福井市美術館で開幕した。鏡の顔を見つめ、虚栄心や羞恥心、自己愛などのせめぎ合いを経て描かれた自画像は、画家にとって究極の自己表現。125点が来場者を見つめ、自分と向き合うことの意味を教えてくれる。

 笠間日動美術館(茨城)のコレクションを紹介する企画展。日本で自画像が独立したテーマとして描かれるようになったのは、洋画が輸入された近代以降で、洋画研究の身近な題材だった。

 展覧会は明治から現代までを順番にたどる7章構成。最初期の和製油彩画として知られる高橋由一の自画像は、留学の経験がない中で西洋の陰影を学び、写実に挑んだ。明治期の画家たちは、国の期待を背負って留学し、重圧の中で自分を確立してきた。二世五姓田芳柳(にせいごせだほうりゅう)は、威厳のある表情を重厚な筆致で描いた。

 戦後になると、色面と線描で画面を構成し、顔をはっきり描かない木村忠太や、毒々しい赤一色の画面に自らを描いた鴨居玲のような自由な表現も。時代とともに変化する自画像を通じて、油彩画の歴史をたどる内容にもなっている。ピカソやシャガールら西洋の自画像や、一部画家のパレットもある。

 会場を訪れた教員で美術家の男性(54)=福井市=は、学生時代から自画像を手がけ、生徒にも描くように勧めてきた。「格好良くも醜くも描くのは難しく、生徒を前にすると自分だと分かるように描かなければという邪念が入る。自分を客観的に見つめることは本当に難しい。展示作品からもいろんな感情が読み取れて面白かった」と話していた。

 3月31日まで(月曜と3月22日休館)。観覧料は一般800円、高校・大学生500円、小中学生200円。福井市美術館=電話0776(33)2990。

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