裸押し合い大祭に向けて、大ろうそくを作る北村さん=南魚沼市浦佐

裸押し合い大祭に向けて、大ろうそくを作る北村さん=南魚沼市浦佐

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誇りの奇祭待ち遠しい 裸押し合い大祭 3月3日、南魚沼

新潟日報(2019年2月27日)

 日本三大奇祭の一つともいわれ、1200年以上の歴史を持つ「裸押し合い大祭」が3月3日、新潟県南魚沼市浦佐の毘沙門堂普光寺(ふこうじ)で開かれる。境内を照らす大ろうそくや、参拝者にまかれる「撒与(さんよ)品」の準備が進む。昨年は大祭直後の3月8日に国の重要無形民俗文化財に指定された。ことしは指定後初めての開催となる。地元の人々は「大祭が待ち遠しい」と心待ちにしている。

◎大ろうそく魂込めて

 「雪と炎の奇祭」とも言われる大祭を彩るのは、大ろうそくだ。地元の北村ローソク店の店主、北村洋成さん(55)が手掛ける。「平成最後の大祭。魂を込めてつくりたい」と気合を入れ、黙々と手を動かす。

 大祭には、毘沙門天の信仰を支える各地の講中から約70本の大ろうそくが奉納され、雪が積もった境内や本堂を照らす。北村さんは制作を一手に担い、昨年末から作業を進めてきた。

 一番大きなローソクは高さ120センチほど。重さは60キロにも及ぶ。10センチほどの芯に、熱したろうを手で塗り重ねていく。気温が高いと固まりにくく、ひび割れにつながる。この冬は暖かい日が多く、扇風機3台を回して風を当てながら、普段以上に丁寧に塗り重ねている。

 かんなを掛けて形を整え、仕上げのろうを塗り、文字を入れて完成する。約70本を月末までに仕上げる。「今月いっぱい気合を入れて、頑張っていく」と表情を引き締めた。

◎「気持ち高まる」 住民ら撒与品準備

 裸押し合い大祭でまかれる福餅や5円玉、俵といった「撒与品」の準備に精を出したのは、大祭を取り仕切る青年団のOBや住民でつくるグループのメンバーだ。24日には浦佐の各地で作業を行い、「皆さんの幸せを祈り、準備した」と声をそろえた。

 青年団OBや毘沙門天の信仰を支える講中が「撒与品」を普光寺に奉納。護摩の火に当てた後、大祭中に境内でまかれる。

 青年団を1992年に卒業したメンバーが中心となって結成した「毘翔会」は、男衆がつきたての餅を丸め、女性が千個の5円玉に紅白のリボンを通した。門山博子さん(56)は「いよいよ大祭。準備をしていると、気持ちが高まる」とほほ笑んだ。

 同じく青年団OBでつくる「撒与講中」は縦40センチ、直径15センチほどの俵を用意し、朝から中に紅白の餅を詰めた。講中を取り仕切る講元の関賢三さん(69)は、国の重要無形民俗文化財に指定されてから初の大祭となることに触れ、「大祭が認められて誇らしい。後は大祭の当日を待つだけ」と笑顔を浮かべた。

◎来年から第1土曜開催 継続、発展のため変更

 裸押し合い大祭の開催日は来年から、3月の第1土曜日となる。より訪れやすくなるように、3月3日の固定日程から変更した。

 大祭委員会によると、県内各地から祭りに訪れる講中や参拝者から、「平日だと参拝が難しい」との声が上がっていた。3年前から議論を重ね、1月に大祭委員会が普光寺の住職に日程変更を提案し、了承された。

 関常幸委員長は「難しい判断だったが、大祭を継続、保存していくだけではなく、さらに発展させていくためだ」と説明した。

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