野上さんが生涯を通して追求した抽象画をそろえた会場=県民会館美術館

野上さんが生涯を通して追求した抽象画をそろえた会場=県民会館美術館

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穏やかな人柄しのぶ 富山で野上祇麿追悼展開幕

北日本新聞(2019年3月2日)

 県画壇をリードし、2017年に亡くなった富山市の洋画家、野上祇麿(ただまろ)さん(享年87)の追悼展が1日、県民会館美術館で始まった。「記憶の風景 野上祇麿追想展」と題し、長年手掛けた「ふるさとの祭り」をテーマにした大作など48点を展示。初日から大勢の人が訪れ、穏やかな人柄がにじむ作品をじっくりと鑑賞した。5日まで。

 野上さんは、少年時代に見た流鏑馬(やぶさめ)や稚児舞の情景を基にした抽象画を制作。青や赤など鮮やかな色彩で日本の原風景を表現した。1969年から2015年まで続いた5人展では、板やパレットを貼り付けるなどした実験的な新作を発表した。

 追悼展は有志の60人余りでつくる世話人会が主催。野上さんの弟子だった米田雪子さん(77)=富山市=らが中心となり準備を進めた。

 会場では創作初期から晩年まで半世紀にわたる画業を紹介。美術専門誌に掲載された「儀式」(1965年、射水市蔵)や、浮遊する鞠(まり)を描き入れた高さ約3メートルの大作「明日の抄本」(72年、高岡市美術館蔵)、高岡御車山(みくるまやま)祭を題材にした「山車」(83年、県美術館蔵)などが並ぶ。

 派手なことを好まず、葬儀も通夜も近親者で済ませた野上さんに感謝の気持ちを伝えようと、知人やファンが次々に来場。作品の前で思い出を語り合った。野上さんの絵画教室に通っていた谷口直美さん(65)=兵庫県=は「包み込まれるような色合いの作品を見て、優しかった先生に会えた気がした」と話した。

 入場無料。北日本新聞社共催。

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