福井ゆかりの歌人が震災を詠んだ9首や書籍が並ぶ企画展=福井県福井市の県ふるさと文学館

福井ゆかりの歌人が震災を詠んだ9首や書籍が並ぶ企画展=福井県福井市の県ふるさと文学館

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俵万智さんら復興への希望詠む 福井県文学館で企画展

福井新聞(2019年3月11日)

 「『電信柱抜けそうなほど揺れていた』 震度7とはそういうことか」―。高校卒業まで福井県武生市(現越前市)で過ごした俵万智さんら、福井ゆかりの歌人が震災を詠んだ作品を紹介する企画展が4月24日まで、福井市の県ふるさと文学館で開かれている。2011年の東日本大震災や1948年の福井地震を受け作られた歌が、天災への畏怖や復興の希望を伝えている。

 3月1日に始まった「福井ゆかりの歌人と天災」展は、全国文学館協議会が東日本大震災が発生した同11日に合わせて全国で開いている共同展示の一環。県ふるさと文学館では5回目となる。

 今回は俵さん、福井市出身の故吉田正俊さん、春江町(現坂井市)に住んだ故岡部文夫さんの3歌人の9首をパネルで展示。作品が収録された書籍5冊も紹介している。

 俵さんは宮城県に住んでいたが、東日本大震災を受け、同県を離れた。「ありふれた心が後ろめたくなる 花をきれいと思うことさえ」は、被災者を想起してか、花をめでる気持ちさえ後ろめたさを覚える心情を詠んだ。

 吉田さんの作品「新しき街見に来よと君言ふに 我は来りぬふるさとなれば」は、福井空襲や福井地震から復興したふるさとを詠んだ一首。荒廃からよみがえった福井市街地に訪れた時の感慨を歌った。

 「大地震のゆふべにいたりきこえくる 震源はまた遠州灘といふ」は、岡部さんが44年の昭和東南海地震を詠んだ歌。震源の位置を気にかける内容で、天災に対する恐怖心や不安な心情が表れている。

 同館の担当者は「作品を通じて防災の意識を高め、被災者に思いをはせるきっかけにしてもらえれば」と話していた。毎週月曜と18日~4月1日は休館。

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