かつてJR信越線の特急あさまや中央線特急あずさなどに使われ、近年は塩尻―長野間の快速「おはようライナー」で親しまれてきた189系車両が15日、定期運転を終える。モスグリーンをあしらった趣のある車両で首都圏と信州を結び、県民の記憶に刻まれてきたが、今は全国で乗ることができるのはこの列車だけ。13日も多くの鉄道ファンが「乗り納め」を楽しみ、沿線はカメラを向ける人たちでにぎわった。
189系はこぶが突き出たような運転室が特徴で、主に1997年の長野新幹線開業まで走ったあさまに使われた。JR東日本長野支社によると、その後は臨時列車などに使われたが現在は1編成だけが残り、午前6時57分塩尻発のおはようライナーとして片道運転するのみだ。
13日は人身事故の影響で運転区間を松本―長野間に変更。松本駅ホームに6両編成の列車が到着すると30人ほどが一斉にカメラを向けた。都内の会社員原嶋聖さん(24)は「車内が昔の雰囲気で好き」と引退を惜しんでいた。
東筑摩郡麻績村のカーブは撮影名所として知られ、愛好家がシャッターチャンスを待ち構えた。ビデオ4台で撮影した長野市の自営業丸山孝美さん(70)は「なくなってしまうと寂しい。最後だからあしたもあさっても撮影する」。
同支社によると、この列車の車両は1975(昭和50)年ごろの製造。老朽化し、乗車率も50%以下に低迷していた。当面は車両基地に保管する。おはようライナー廃止後は同じ時刻、停車駅の快速を運行する。