「黄金の大地」の一場面。砂金探しの老人を演じる山田さん(C)Skeleton Films

「黄金の大地」の一場面。砂金探しの老人を演じる山田さん(C)Skeleton Films

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モナコ映画祭で戸田監督5冠 30日から福井で上映

福井新聞(2019年3月20日)

 福井県坂井市出身の映画監督、戸田博さん(67)=滋賀県守山市=の最新作「黄金の大地」が、第16回モナコ国際映画祭で最優秀監督賞など主要5冠に輝いた。準主役を務めた福井市在住のアマチュア俳優、山田昭二さん(76)らがベスト・アンサンブル・キャスト賞を受賞した。3月30日から3日間、同市のメトロ劇場で凱旋(がいせん)上映会が開かれ、戸田監督が舞台あいさつする。

 同映画祭は暴力描写のない作品が出品対象で、今回は世界各国から865作品が寄せられた。長編映画部門の「黄金の大地」は、監督賞、キャスト賞のほか、最優秀脚本賞、最優秀編集賞、最優秀撮影賞に選ばれた。戸田監督は2014年の同映画祭でも「京都、夏」で5冠を達成したが、編集賞、撮影賞は初めて。

 「黄金の大地」は105分のモノクロ作品。戸田作品に毎回出演する名優、林与一さん=東京都=が演じる薬草を集める男性と、山田さんが演じる砂金を探す老人が出会い、人生を語り合う。一方で薬物中毒に悩む夫婦の物語も展開する。登場人物が偶然同じ和太鼓コンサート会場に集い、人生の転換期を迎える。坂井市竹田地区周辺の自然や福井市街も映し出される。

 林さん同様に戸田作品の常連の山田さんは「いつも以上にせりふを頭にたたき込み」、周りのプロの俳優に負けじとへんくつな老人を熱演した。「多くを語らず、感性で作る独特の戸田ワールドが表現されている」と「黄金の大地」の魅力を語る。

 昨年12月上旬に開かれた同映画祭で、審査員が「詩的な作品で世界に必要」「キャストもストーリーも素晴らしい」と絶賛した。

 戸田監督は撮影は独学で、看護師をしながら映画制作に取り組んでいる。「黄金の大地のインスピレーションは日本的なもの。日本人の魂が表せたらいいと思い制作した」。2度目の監督賞に「暴力描写にあふれたり、音楽や演出で観客を泣くよう誘導したりする映画が多い中、まっとうな人間を撮影した。きちんと評価してもらえてありがいたい」と話した。

 凱旋上映会は3日間とも午後6時半から。上映に先立って戸田監督が舞台あいさつする。戸田監督が08年に手掛け、山田さんらが主演した「夏の宴(うたげ)」も上映する。チケットは前売り千円。メトロ劇場などで販売している。

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