長野県 花・紅葉

桜の名所 動きだし早く 花見小屋営業や催し前倒し

信濃毎日新聞(2019年3月24日)

 県内各地の桜の名所で、花見小屋の営業や催し期間を前倒しする動きが出ている。昨年、記録的に開花が早まり、対応に追われた教訓からで、タカトオコヒガンザクラの名所として知られる伊那市高遠町の高遠城址(じょうし)公園は23日、例年4月1日の「公園開き」を前倒し実施した。日本気象協会は20日時点で、県内10地点の開花は「例年より早め」と予想。同日は県内13地点で最高気温が20度超となったが、23日は一転、2月上旬から3月上旬並みの寒さに―。寒暖差の大きい春先の天気に、関係者はしばらく気をもみそうだ。

 「昨年は本当に大慌てで大変だった」。花見小屋の設営が進む長野市城山公園。出店者でつくる市城山観桜組合の小林善幸組合長(81)は話す。

 同協会の予想では、長野の開花は平年より7日早い4月6日。しかし、花見小屋は同3日から営業を予定する。昨年は3月中の気温上昇などで開花が急速に進み、長野地方気象台(長野市)の統計開始以来、2002年と並んで最も早い4月2日となり、急きょ営業開始日を早めた。小林さんは「今年は余裕を持って開花を迎えたい」とする。

 公園開きを前倒しした高遠城址公園。伊那市によると、昨年は開花が4月1日の公園開きと重なった一方、バスツアーが集中していた15日前後には見頃を過ぎ、来園しない人が目立った。市観光協会は、花見客の安全を願う神事は「にぎわい始める前が望ましい」と早めた理由を説明する。

 約1500本のタカトオコヒガンザクラのつぼみは徐々に膨らんできたが、この日は寒く、公園内はコート姿の人が目立った。公園開きの式典で、白鳥孝市長は「昨年は開花が早く、桜を楽しめる期間が大変短かった。公園開きをすると、『そろそろかな』と日本各地からたくさんの人に足を運んでもらえる」と期待を込めた。地元の園児34人が「春が来た」を歌って花を添えた。さくら祭りはこの日から4月30日までの予定。

 日本気象協会長野支店(長野市)によると、桜の開花には低温にさらされた後に目覚める「休眠打破」が必要。昨年は1月の冷え込みが厳しく、この過程が順調に進んだ。さらに3月は県内主要観測5地点でいずれも月平均気温が同月の観測史上最高を記録し、開花が急速に早まったという。

 今冬も休眠打破は順調だったが、気象庁による関東甲信地方の1カ月予報では、今後1カ月間の気温は平年並みの予報で、「今のところ昨年ほど開花が早まることはない」とする。気象情報会社「ウェザーニューズ」(千葉市)は19日時点で「例年並み」と見込む。

 全国で桜開花が伝わり、22日には下伊那郡天龍村が、昨年より2日早く村内のソメイヨシノの開花を宣言。県内の他の地域も、催しなどの準備を早めるべきか様子をうかがっている。長野地方気象台によると、県内は24日も最高気温が低めとなる一方、25日以降は平年並みか高くなると見込んでいる。

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