活動拠点の若狭屋前で記念撮影をして創立10周年を祝う今庄旅籠塾のメンバーら=3月24日、福井県南越前町今庄

活動拠点の若狭屋前で記念撮影をして創立10周年を祝う今庄旅籠塾のメンバーら=3月24日、福井県南越前町今庄

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今庄宿の町並み守り10年 貴重な建物活用に貢献 福井県

福井新聞(2019年3月25日)

 北国街道の宿場町として栄えた福井県南越前町の今庄宿の町並み保存に取り組むNPO法人「今庄旅籠塾」は今月、設立10周年を迎えた。国登録有形文化財の旧旅籠「若狭屋」など貴重な建物を解体から救い、活用につなげてきた。塾メンバーらは「冒険のような気分で続けてきた。次世代にまちを引き継ぐため、まずは自分たちが頑張りたい」と気持ちを新たにしている。

 3月24日に若狭屋で行われた記念式典。同法人の仲間や町内関係者ら約50人の前で、活動の先頭に立ってきた高嶋秀夫理事長(71)は「好きなことをやってきた10年間。楽しむことが継続の一番のエネルギーだった」と振り返った。

 設立は2009年3月。まちの景観が変わることに危機感を持った住民5人が、同NPOを立ち上げた。事務所を構えた旧旅籠「若狭屋」は取り壊しの危機にあったが、持ち主から借り受けて改修。解体から守った最初の建物になった。

 今庄宿を「形として残す」「記録に残す」を目的に、建物や歴史的資料の調査、学生との古民家修復、子どもの郷土学習のための紙芝居披露、若狭屋を会場にしたイベントなどを展開。昭和初期の古民家を改修したカフェも開設した。会員には越前市や敦賀市の建築関係者らも加わり、18人に増えた。改修したり、町に引き渡したりした建物は8軒を数える。

 一方、民家の調査や改修に所有者が理解を示しても、近所から協力を得られず、歯がゆい思いをしたこともあった。解体は防げても活用に向けて計画を立てる余裕がないなど、資金面での限界も感じている。

 「その時代に生きた人々が何をしようとしたかでまちは変わっていく。あきらめてはいけない」と高嶋理事長。町並み保存の意識は住民にも広がり、元の建築様式を生かして改修する民家が増えた。同町などと連携し、国の重要伝統的建造物群保存地区(重伝建)選定を目指す動きにもつながった。

 住民の買い物の場を維持し、生活を支えようと、本年中に江戸建築の旧旅籠「大黒屋」を活用して青果店を開く計画も進めている。高嶋理事長は「建物が残っても人がいなくなっては、まちは成り立たない。一人一人が何をできるか考え、まちづくりに参加してほしい」と話している。

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