現存する中では国内最古となる可能性が出てきた松本城の大天守(中央)と乾小天守(右)=27日、松本市

現存する中では国内最古となる可能性が出てきた松本城の大天守(中央)と乾小天守(右)=27日、松本市

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松本城の天守「日本最古」浮上 建造年には諸説、慎重に検証へ

信濃毎日新聞(2019年3月28日)

 国宝松本城(松本市)の天守が最古か―。現存する最古の天守との説があった福井県坂井市の国重要文化財丸岡城の天守について、同市教育委員会が27日までに、部材の柱などの調査により江戸期の寛永年間(1624〜45年)に建造されたことが判明したと発表した。松本城の大天守、渡櫓(わたりやぐら)、乾小天守は古文書などから1590年代の建造とされており、丸岡城の調査結果から現存する最古の天守の可能性が浮上。ただ、他の城にもより古い年代の建造説がある天守があり、松本市教委は慎重に検証を進める考えだ。

 文化庁によると、寛永年間より前に建てられた天守は1590年代の松本城の他、1601年の犬山城(愛知県犬山市)、1606年の彦根城(滋賀県彦根市)と続く。

 丸岡城天守は外観や建築様式から最古とされてきた。坂井市教委によると、天守台の形式や部材の年輪、放射性炭素年代などを調べたところ、柱やはりなど現在の天守を構成する部材の多くが1620年代以降に伐採されたことが明らかになった。

 松本城は石川数正、康長親子が城主を務めた1593〜94年に5棟の天守群のうち大天守、渡櫓、乾小天守が完成したとされる。松本市教委は1990年に開いた築造年代懇談会で複数の古文書を検証。「木を多く伐採した」などの記述があり、公式見解とした。ただ、丸岡城で今回実施したような科学的調査は行っていない。

 松本城を巡っては「乾小天守のみ先に造られた」「天守は江戸時代に入ってから造られた」など、研究者の間でもさまざまな見解がある。一方、犬山城にも1537年に現存する天守の2階部分までが完成した―との説がある。

 松本城管理事務所は「これまで『5重6階の現存天守では国内最古』とPRしてきたが、現存する最古の天守という可能性が出てきたならば、今後も慎重に研究や検証を重ねていきたい」としている。

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