15日の立山黒部アルペンルート全線開通を前に、黒部ダム(立山町)-扇沢(長野県大町市)間で今年から運行する「関電トンネル電気バス」の安全祈願祭が11日、扇沢駅で行われた。前身のトロリーバスが半世紀以上にわたり守り抜いた無事故の伝統を受け継ごうと、関係者は決意を新たにした。
1964年から関西電力が運行していたトロリーバスは、老朽化などのため昨年引退した。後継の電気バスは充電式の車載バッテリーで走る。15台整備し、いずれも定員は80人。
車体は全長11メートル、全高約3・5メートルとトロリーバスとほぼ同じ大きさで、外装のデザインも踏襲した。車両前面には安全神話を継承するとの思いを込め、昨年まで54年間使われたトロリーバスのエンブレムを再塗装して掲示した。
祈願祭には関西電力の社員ら約80人が出席。地元の若一王子神社の宮司が祝詞を奏上し、村田直樹同社黒四管理事務所長(54)らが玉串をささげた。
この日は電気バスを充電する様子が報道陣に公開された。最大460アンペアの電気を流すと約10分で満充電に達するという。試験走行もあり、扇沢-黒部ダム間を片道約15分で往復した。村田所長は「平成から令和に時代が変わるが、私たちにとっては電気バス元年。安全最優先で運行していきたい」と語った。
アルペンルートは10日に弥陀ケ原(1930メートル)まで部分開通した。15日に長野県側の信濃大町まで全線開通する。