立山黒部アルペンルートの室堂(標高2450メートル)近くで16日、雪壁の間を散策する「雪の大谷ウオーク」が今季初めて行われた。アルペンルートが全線開通した15日は荒天で中止になっていた。国内外の観光客は、真っ白な雪壁と真っ青な空が織り成す絶景に感嘆の声を上げた。
除雪作業で予定より15分遅れ、午前9時45分にスタート。雪壁の高さが16メートルに達した「最高地点」を示す看板の前は写真撮影待ちの行列ができた。千葉県習志野市の会社員、石澤聖寛(まさひろ)さん(70)は「想像以上の景色だね」と笑顔。妻の裕子さん(68)は「青と白のコントラストがきれい」と絶景に見入った。
室堂付近は前日の吹雪がうそのような青空が広がった。午前7時に氷点下4度だった気温も午後1時には1度まで上昇。腕まくりをして歩く人の姿が目立った。東京都三鷹市の主婦、本嶋百恵さん(36)は「きのうは天気が悪かったと聞いていたので、晴れて良かった」とほっとした表情。雪の大谷の人気ぶりに圧倒された様子で「景色も人の多さもすごい」と驚いていた。
立山黒部貫光は今シーズンのアルペンルートの入り込み客数について、9年ぶりの100万人を目指している。目標達成に向け、外国人の誘客に力を入れており、この日もアジアを中心に海外からの観光客が多く見られた。タイから来たソム・サオワルックさん(26)は「大きな家みたいで感動的」、ロシアから訪れたタティアーナ・ブラーフさん(28)は「一度見たら忘れられない美しさ」と表現した。
同社によると、16日の入り込み客数は速報値で富山側が4100人、長野側は少なくとも2800人以上だった。ウオークは6月22日まで。