宗玄(そうげん)酒造(珠洲市)は、かつて宝立町の土産物として親しまれていた漬物「宗玄漬(づけ)」を復刻販売する。地元婦人会が同酒造の酒かすを使って製造していたが、高齢化により約20年前に途絶えていた。復刻版は地元のタマネギを漬け込んだ深い味わいが特徴で、28日に市内の道の駅「すずなり」の9周年祭でお披露目し、特産品として定着を目指す。
宗玄漬は、1964(昭和39)年に宝立町柏原(かしはら)婦人会(当時)が作り始め、酒かすで地元の野菜やブリを漬け込み、同酒造や市内の土産店で販売していた。地元の観光土産品コンクールで優秀賞に輝いたこともあるが、90年代末ごろに販売を終了していた。
漬物に再び光を当てたのは、2年前に神奈川県からIターンで同酒造に就職した万行一也さん(36)。漬物用に酒かすを求める地元住民が多いことから、地域で好まれる漬物の商品化を考えるうちに、宗玄漬の存在を知った。
当時の製造方法は失われており、一般的なかす漬けの作り方を学んで研究した。万行さんによると漬物を食べ終わった後に残るかす床には、肉を軟らかくする作用があるといい、「二度おいしい」商品として紹介していく。
宗玄漬は、奥能登さいはて活性化協議会が地元素材にこだわった商品開発に取り組む「プロジェクトスズ」の認定を受け、28日は限定30パックを用意し、評判を確かめる。
今回はタマネギのみだが、今後は具材の種類を増やすことも検討する計画で万行さんは「売れ行きを見て、今後も改良を続けていきたい」と意欲を見せた。