国内外で活動する画家の河野ルルさん(31)=名古屋市=が、高岡市の中心商店街を壁画で彩るプロジェクトを進めている。高岡大仏や高岡御車山(みくるまやま)祭といった地元の名物をモチーフにしながら、にぎやかな商店街を表現する。まちのシンボルとなってきた高岡大和と文苑堂書店駅前店が相次いで閉店を発表し、地域に暗いムードが漂う中、新たな魅力づくりに一役買う。
河野さんが壁画を描くのは、再開発事業で3月に完成した複合ビル「レーベン高岡 MID RISE TOWER」(高岡市末広町)の2階にある公共スペース。末広町商店街振興組合の事務所と交流の場を兼ねた「べっぴんサロン」が入居する。同組合が河野さんに依頼し、制作が実現した。
作品はサロンと、隣接する屋上広場の壁に描かれ、それぞれ縦3メートル、横10メートル。高岡の街並みや子どもたちが行き交う様子を明るい色調で表現し、空洞化が進む中心市街地の再生を願う気持ちを込めた。
サロンと屋上広場は今後、カルチャースクールやフリーマーケット、ヨガ教室などに利用され、河野さんは「高岡ならではの楽しさが、まちなかからたくさん発信されればいい」と話す。
河野さんは27歳で勤務していた会社を辞め、世界の国々を放浪。メキシコの壁画文化に魅了され、宿泊費の代わりにホテルの壁に絵を描いて腕を磨いた。帰国後、本格的に画家としての活動を始め、若手クリエーターが集う2017年の国際アートフェアでグランプリを受賞。絵本の挿絵やイベントのデザイン監修など活動の幅を広げている。
作品は5月1日にお披露目される。午後2時半に除幕式が行われ、河野さんのトークショーも予定している。