建設工事が進められている物販施設(右)=富山市東岩瀬町

建設工事が進められている物販施設(右)=富山市東岩瀬町

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旧回船問屋観光拠点に 岩瀬の桝田酒造店、宮城家を再生

北日本新聞(2019年5月4日)

 北前船交易による繁栄の歴史を今に伝える富山市岩瀬地区に8月、回船問屋として栄えた東岩瀬五大家の一つ、宮城家の住宅を解体再生した新たな観光拠点が誕生する。県内作家の手によるアート作品の販売コーナーや地酒試飲スペースを設けた物販施設で、日本料理店も入ることが決まっている。施設を運営する桝田酒造店(同市東岩瀬町、桝田隆一郎社長)は来春の路面電車南北接続を見据え、岩瀬の魅力アップにつなげる考えだ。

 物販施設は富山港展望台近くの宮城家住宅跡地にオープンする。

 和風のたたずまいで、木造2階建ての母屋と土蔵で構成し、延べ568平方メートル。昨年6月に着工し、今年7月中旬の完成を見込む。開業は8月13日の予定だ。

 ガラスや陶芸、漆芸といった県内作家の酒器を中心にそろえる。購入した酒器を使い、その場で桝田酒造店の代表銘柄「満寿泉」を楽しめる。日本料理店は、富山市桜木町にあった老舗料亭「海老亭別館いきいき亭」の料理長を務めた藤井寛徳さん(42)が同市五福で経営する店を移転開業する。藤井さんは「富山の魚の良さを伝えたい」と抱負を語る。

 さまざまな意匠を凝らした庭が特色の一つ。回廊に線路の枕木として使われていた耐久性に優れるユーカリ材を敷き詰める。ユーカリ材は庭に置く複数の鳥居にも利用し、京都・伏見稲荷大社の千本鳥居のようなデザインにする計画だ。英国南西部の巨石遺跡群ストーンヘンジを想起させるような高知県の四万十川の青石を組み合わせた門も設置した。

 旧宮城家住宅は築約150年とされ、母屋と土蔵を備えていた。2017年6月の火災で被害を受け、物販施設には部材の一部を再利用する。南砺市の井波別院瑞泉寺境内で落雷を受けて倒れたスギを購入して柱に使う。桝田社長(52)は「本堂の身代わりになった木。再び火災に見舞われることがないよう厄よけにしたい」と話す。

 物販施設の敷地内に設けた新棟にはイタリア料理店「ピアット・スズキ・チンクエ」が入り、先行開業している。桝田社長は「南北の路面電車がつながれば岩瀬により多くの人が訪れるだろう。これから大きく変わる岩瀬の魅力を新たな施設で高めたい」としている。

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