東上町の若連中と一緒に三味線を堂々と奏でる井波さん(右から2人目)。左横は父の隆司さん=南砺市城端

東上町の若連中と一緒に三味線を堂々と奏でる井波さん(右から2人目)。左横は父の隆司さん=南砺市城端

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最年少14歳井波さんが三味線 城端曳山祭

北日本新聞(2019年5月5日)

 南砺市の国重要無形民俗文化財・城端曳山(ひきやま)祭は4日始まり、城端中2年の井波優樹さん(14)が地元・東上町の若連中に加わり、初めて三味線を奏でた。庵唄(いおりうた)を披露する若連中は原則社会人以上とされ、関係者によると、井波さんは約300年続く祭の歴史の中で最年少の出演者という。父の影響で幼い頃から三味線にのめり込み、練習に励んできた。祭の担い手不足が進む中、将来の後継者として期待を集めている。

 祭では豪華絢爛(けんらん)な曳山とともに、若連中が料亭や茶屋を模した庵屋台で三味線や篠笛(しのぶえ)を奏で、庵唄を披露する。粋な音色で情緒を引き立てる呼び物の一つで、6町の若連中はそれぞれ、2月の寒稽古から祭へ向けて練習を重ねる。

 井波さんは東上町の若連中を務める父の隆司さん(44)の姿を見て、子どもの頃から三味線に親しんできた。おもちゃのギターをしゃもじで鳴らすまねをしたり、隆司さんの三味線をこっそり触って壊したりすることも。小学2年生からは週に1回、地元の三味線教室に通い、今では5曲の庵唄を奏でられるようになった。井波さんは「音の響きが好き。城端にしかない祭を自分が受け継いでいければいい」と語る。

 昨年は庵屋台巡行の手伝いをしたが、今年はいよいよ若連中に交じって三味線を奏でることになった。城端曳山会館の山下茂樹館長(67)によると、井波さんが祭史上、最年少の奏者になるという。「まちに人がたくさんいた昔は、若連中になれない人も多かった。情熱ある若者が中心となって祭を将来につないでほしい」と力を込める。

 4日の宵祭では紋付きはかま姿で、隆司さんと共に三味線を奏でた。隆司さんは息子の晴れ舞台に「ハラハラドキドキ」。一方、演奏を終えた井波さんは「立って弾くのが難しかった。明日はミスのないよう頑張りたい」と笑顔で話した。5日の本祭も若連中と一緒に庵唄を奏でる。

 邦楽界第一人者の三味線奏者で、長年にわたって城端で指導している芳村伊十一郎さん(64)=東京=は井波さんについて「三味線に対する情熱が伝わってくる」と言う。大西正隆城端曳山祭保存会長(72)は「この姿に刺激され、祭に興味を持つ若者が増えればいい」と期待している。

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