足羽山の歴史と魅力を紹介している企画展「足羽山ヒストリー(前編)」=5月19日、福井県福井市橘曙覧記念文学館

足羽山の歴史と魅力を紹介している企画展「足羽山ヒストリー(前編)」=5月19日、福井県福井市橘曙覧記念文学館

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足羽山の今昔知って 福井市橘曙覧文学館で企画展

福井新聞(2019年5月24日)

 足羽山の原始・古代から現代に至るまでの歴史を写真や絵図などで紹介する福井県福井市橘曙覧記念文学館の企画展「足羽山ヒストリー(前編)」が同館で開かれている。市民の憩いの場として親しまれている山の長い歴史をたどり、魅力を改めて伝えている。8月25日まで。期間中は関連企画も開催される。

 幕末の福井の歌人、橘曙覧が足羽山の麓、現在の同文学館あたりに住んでいたことから企画した。

 原始・古代の足羽山には、当時支配していたとみられる有力者の古墳が数多く造られた。確認されているだけで大小61基あり、代表的な古墳を写真やマップで紹介。1575年に柴田勝家が織田信長の命で越前を支配すると、神社や寺院が足羽山やその麓に移転し、武士たちにとっては武道の鍛錬の場にもなった。江戸時代に入ると料亭ができたことなども説明している。

 明治期以降になると、1900(明治33)年の橋南大火や昭和期の戦災、震災によって寺や神社が焼けたり、倒壊したりしたが、そのたびに整備が行われた。1952年には福井復興博覧会の会場の一つとなり、子どもたちが楽しそうに遊ぶ様子の写真もある。

 曙覧は28歳(1839年)から足羽山の麓に住み、歌人として第一歩をスタートしたとされる。住んでいた場所からは、井戸水が十分に得られず、妻が水を遠くからくんで苦労する様子の歌が描かれた短冊を展示。足羽山にもたびたび訪れ、紅葉の名所であった護摩堂(現在の朝日山不動寺がある場所)を訪れ、他の人と酒を飲んだことや新茶を飲ませてもらったことを詠んだ歌も紹介している。

 同文学館の内田好美学芸員(41)は「足羽山は現在、桜の名所として市民の憩いの場所になっているが、歴史深い場所である。ぜひ足羽山を学んでほしい」と話していた。

 開館時間は午前9時から午後5時15分まで。観覧料は一般(高校生以上70歳未満)100円。関連企画として7月13、27日に市歴史ボランティア「語り部」による足羽山にまつわる市民歴史講座が開かれる。

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