「地域の人が気軽に寄れるカフェにしたい」と語る稲崎さん

「地域の人が気軽に寄れるカフェにしたい」と語る稲崎さん

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カフェで地域に貢献 滑川の稲崎さん、エンジニアから転身

北日本新聞(2019年5月29日)

 滑川市北野の稲崎聡さん(65)は今春、同市田中町の「カフェ コラレッカ」の店長に就いた。気象衛星のシステム開発や大学病院の病院長補佐を務めた経歴を持ち、飲食業の経験がない中で料理を学んで転身した。地元作家の作品展やコンサートにも場所を提供し、地域貢献を目指す。

 「いらっしゃい。夏野菜カレー食べてく?」。カフェの扉を開けると、茶色のハンチング帽をかぶった稲崎さんが気さくに迎えてくれた。聞けば、今年2月までは、熟練のエンジニアとしてパソコンに向かう日々だったという。

 1974年に東京教育大(現筑波大)を卒業後、宇宙開発専門の都内のソフトウエア会社で、天気予報に役立つ気象衛星の制御システム開発に携わった。十数年勤める間に3人の子宝に恵まれ、89年に古里の滑川市北野にUターン。エンジニアとして、インテックや富山大附属病院、上市町役場を渡り歩いた。同病院では、病院の情報管理や経営面で院長をサポートした。

 年を重ねるにつれ、心の奥で温めていた「生まれ育った滑川で働き、古里に貢献したい」との思いが強くなった。昨春、社会福祉法人「周山会」が新しくつくるサービス付き高齢者向け住宅内に併設するカフェの店長を、今春のオープンを前に探していると知った。「地域交流カフェ」という位置付けに共感した。

 料理は元々得意で、1年かけて通信講座やインターネットでコーヒーやカフェメニューの作り方を研究した。4月から調理場に立ち、パンケーキやパスタ、カレーなどを作る。

 店内の壁では地元作家の写真や絵画などを展示している。店を時折開放し、高齢者向けの健康講座や地元アーティストによるピアノコンサートも開く計画だ。「地元の人がふらっと寄れる楽しい場所にして、滑川を盛り上げたい」と意気込んでいる。

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