輪島市三井地区で地域経済の活性化などに取り組む企業「百笑(ひゃくしょう)の暮らし」は、同市三井町漆原の茅葺(かやぶ)き家屋「旧福島邸」の土蔵を図書館に改装する。農業や食、建築などに関する本をそろえ、田舎風情を感じられる憩いの場として活用する。7月の開館を目指して準備を進めており、地域住民や観光客に開放して交流拠点としたい考えだ。
旧福島邸は明治初期に建てられた。隣接する土蔵は2007年3月の能登半島地震で被害を受けた後、ギャラリースペースなどに利用できるよう地区住民らによって修復されたが、ほとんど使われていない。
利用を増やすため、昨年4月から民間企業である百笑の暮らしが管理を担うことになり、土蔵を図書館としてリニューアルすることにした。
同社は古民家の修復などに多く携わってきた「奥能登アーキ」(同市里町)の越田純市さん(33)に本棚の設計を依頼し、木目をいかした落ち着いた雰囲気に仕上げる予定だ。椅子や机なども配置し、土蔵内で読書や会話を楽しめるようにする。
不要になった本を集めて再利用する計画で、ジャンルは農業、食、生活、旅、建築関係などに絞る。蔵書は現在300冊ほどで、最終的には約2千冊に増やす。貸し出しも行うという。
今月上旬から、本棚の取り付け作業などに取り掛かっており、百笑の暮らし代表の山本亮さん(32)は「価値ある建物を使わなければもったいない。多くの人が気軽に立ち寄って交流できる図書館を目指したい」と話した。