明治神宮に奉納される「明治神宮内陣御屏風日月四季花鳥(ないじんおんびょうぶじつげつしきかちょう)」を披露している特別企画展(福井新聞社共催)に合わせ、今年10月に開館する同神宮ミュージアムの黒田泰三館長を招いた記念講演が6月8日、福井県立美術館であった。屏風絵制作が決まるまでの秘話や絵の魅力などが紹介され、集まった約150人が聴き入った。
制作したのは日本美術院同人で東京芸大教授の日本画家、手塚雄二さん(66)=東京。県立美術館の特別館長を務めていることから、奉納前に展示されている。
手塚さんのファンという黒田館長は「明治神宮の宮司から、新たな屏風の制作者について相談を受け(手塚さんが良いと)即答した」。依頼から数日後に、本人から引き受けるという回答をもらったといい「先生は、いろいろな仕事をずらして何度も明治神宮の森に足を運び、構想を練っていた」と紹介した。
屏風は、右から左にかけてチョウ、ハチ、トンボといった生き物、森の色彩を変化させ、四季の移り変わりを色鮮やかに描いている。黒田館長は「いかにも先生らしい、優しいまなざしで、自然界の微妙な色合いを捉えた作品。色彩がとても美しく豊かで『手塚芸術』の真骨頂と言っても良い」と絶賛した。
屏風は、来年鎮座100年を迎える明治神宮に今年8月奉納され、100年間は誰も目にできないとされる。一般の目に触れるのは今回の展示が最後となる。
特別企画展は6月23日まで。15、22の両日午後2時から、県立美術館で学芸員によるギャラリートークがある。観覧券が必要。