和紙を使って本物そっくりに作った「盆栽」の作品展が6月12日、福井県越前市の卯立の工芸館で始まった。一枚一枚の葉の葉脈や細い幹の質感まで細かく表現され、間近に見ても盆栽が息づいているようで訪れた人を驚かせている。7月15日まで。
福井市宝永1丁目の理容業、玉村一美さん(65)が22年前から作り続けている。4年前の作品展以降に制作した新作を含め、ウメやマツ、センリョウ、ツツジなど41点を展示した。オオバコやイヌタデといった小さな野草を題材にした作品も並んでいる。
「枯れない盆栽を作ってみよう」と始めた趣味にのめり込み、自己流で技術を磨いてきた。幹は細かくちぎった異なる色の和紙をぬらし、幾重にも重ね合わせて微妙な表情を出している。葉は和紙そのものの色を生かし、厚みが違う和紙を貼り合わせるなどして制作。一つの作品の中で紅葉の淡いグラデーションが表現されているものもある。とげ状のマツの葉は、針金に薄い和紙を巻いて一本ずつ手作りしている。
玉村さんは「できるだけ本物に近づけたいと思って作り続けてきた」と話している。
最終日の7月15日午後1時半からは、玉村さんがミニ盆栽の作り方を教えるワークショップ(有料)がある。問い合わせは同工芸館=電話0778(43)7800。