雪を貯蔵する氷室小屋=金沢市湯涌町

雪を貯蔵する氷室小屋=金沢市湯涌町

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氷室開き 小屋の雪解け、冷凍の雪で

北國新聞(2019年6月24日)

 金沢市湯涌温泉の夏の風物詩「氷室開き」を30日に控え、氷室小屋の雪が底を突いたことが分かった。暖冬で十分な雪を確保できなかったことに加え、春以降、平年より気温の高い日が続いたことが影響した。関係者によると、氷室開き前に雪が全て解けてしまったのは過去34年間で初めて。当日は11年ぶりに別の場所に保存してある予備の雪を使用する。
 氷室開きは冬に降った雪を貯蔵し、夏に将軍家に献上した加賀藩の習わしに由来する行事で、1986(昭和61)年に湯涌温泉観光協会が復活させた。同協会によると、今年1月、雪の「仕込み」の際に確保できたのは12トン程度で、容量約60トンの5分の1にとどまった。
 小屋には雪を長持ちさせるための発泡スチロールや断熱シートが敷かれていたが、もともとの量が少なく、本番を待たずに解けきってしまったとみられる。
 外気が入らないよう小屋の戸を閉めていたため、いつの時点で雪がなくなったのかは分からない。同協会事業部長の山下新一郎さんは「気温が高くなった大型連休あたりではないか」と推測する。
 小屋の雪がなくなったことを受け、氷室開きでは予備として近江町市場に冷凍保存してある雪を使う。不足を見越して十分な量が蓄えてあるという。同市場の雪を使うのは、春先の高温で雪が足りなくなった2008年以来となる。
 雪は当日のイベントに使われるほか、加賀藩下屋敷のあった東京都板橋区、旧前田本邸があった目黒区に贈られる。山下さんは「氷室の雪が消えてしまったのは残念だが、先人の精神を受け継ぎ、伝統を絶やさずに続けていきたい」と話した。

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