ドブネズミの駆除に用いるわなを説明する担当者=輪島市の七ツ島・大島

ドブネズミの駆除に用いるわなを説明する担当者=輪島市の七ツ島・大島

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「渡り鳥の楽園」卵の保護で環境省 ドブネズミ駆除作戦

北國新聞(2019年6月26日)

 環境省は25日、輪島沖約20キロにある七ツ島の最大の島「大島」で現地説明会を開き、渡り鳥の卵を食べるなど生態系を乱すドブネズミの駆除を進めていることを明らかにした。漁船に潜んで上陸したとみられるネズミは繁殖力が強く、放置すれば爆発的に増える恐れがある。外来生物アナウサギの根絶成功に続き、島内にわな50個を仕掛けてドブネズミを駆除し、貴重な野鳥の楽園を守る。
 説明会は大島で植物を食べ荒らしていたアナウサギを根絶した状況を公表するために開かれた。
 アナウサギはピーク時の2013年には300羽以上に増え、植物を食べ尽くして地表があらわになり、土砂が海に流出しやすくなったほか、崖地に巣穴を掘って卵を産み育てる渡り鳥「オオミズナギドリ」の巣穴を壊すこともあった。
 捕獲と緑化作業を進めた結果、1181平方メートルあった裸地の約7割に当たる882・7平方メートルにオオヨモギやノアザミなどが生え、16年9月以降、ウサギの姿は確認されなくなった。
 一方、監視カメラによる撮影の結果、アナウサギの減少に反比例するようにドブネズミが増加していることが判明。16年夏ごろからウサギの個体数調査に用いる赤外線カメラにネズミが写る回数が増えた。
 七ツ島にはかつて漁師用の休憩施設があり、寄島した際にドブネズミも侵入したとみられる。大島は海鳥の繁殖地で、中でもオオミズナギドリの繁殖に適し、シーズンには推定約6万羽が生息するという。ネズミは巣穴に入り、卵を食べる。生まれたばかりのひなも襲う。
 このため、同省は殺鼠(さっそ)剤を入れたわな「ベイトステーション」を17年7月から設置し始めた。赤外線カメラ11台をネズミ監視用に転用し、個体数を把握するとともに現地調査を継続する。
 説明会では、環境省中部地方環境事務所の職員や、鳥類、植物学者、駆除を担当した環境コンサルタント会社「いであ」(横浜市)の社員ら18人が状況を報告した。
 ドブネズミが海鳥の生態を脅かしている状況は、2008~10年に調査を行った北國新聞社の舳倉(へぐら)島・七ツ島自然環境調査団が指摘していた。環境省は8月21日、輪島市の石川県漁協輪島支所で七ツ島の外来種に関する勉強会を開く。
 七ツ島 輪島港の北約20キロ沖合の約5キロメートル四方に広がる七つの小島・岩礁群で、すべて無人島。最大の大島の面積は0.126平方キロメートルで、最大標高は61.7メートル。オオミズナギドリやウミネコなど海鳥の繁殖地になっている。

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