中能登町久江区は、全国の神社で唯一、主祭神として一本足の神「久延毘古(くえびこ)」をまつる久氐比古(くてひこ)神社を観光資源として発信する。同神はかかしを神格化したものとされることから、第1弾として8月4日、親子でかかしを作る体験型のイベントを初めて実施する。希少な地元の神社や主祭神の歴史、魅力を伝え、県内外からの誘客につなげる。
同神社や久江区によると、久延毘古は「古事記」にも登場する。1本足のため動けないが、田畑から世の中を見つめる博識の神とされ、田の神であるとともに学業・知恵の神としても信仰されている。
久江区では毎年7月の例大祭で住民が自作のかかしを神社に持ち寄り、おはらいを受けて田畑に設置する。12月の新嘗祭で再び神社に運んで一年の働きをねぎらい、翌年1月の左義長で感謝を込めてたき上げる習わしとなっている。
イベント当日は、神社近くにある旧久江小の校舎内で、かかし作りに取り組んでもらう。大中小の3体を作る予定で、大は奉納用、中は持ち帰り用、小は子どもの夏休みの工作用とする計画だ。奉納用は境内に飾り、参加者の再訪を促す。
かかしには竹や地元産の織物などを使い、繊維の町も合わせてPRする。
同イベントは、町や各種団体などが中能登の観光ツアー100種の商品化を目指す「なかのとワクドキ 夢プラン・プロジェクト」の一環として実施される。
参加費は親子1組5千円で、久江区は参加親子を募集している。同神社の船木清崇宮司(46)は、かかしのある田園風景の写真コンテスト開催も検討するとし、「かかし作りを通して親子の絆も深まれば」と期待を込めた。